商品マスタ、経理マスタ、社員マスタ、顧客マスタ……そんな言葉を聞いたことは無いでしょうか?
なんとなく意味が分かるようで、よく分からない言葉ですね。
そんな「マスタデータ」について、あるととても便利だよ、という観点で解説をしてみます。
○これを知っていると…
データベースの構造や集計ロジックがより理解できるので
クエリを作る時に、試行錯誤することが少なくなります。
マスタデータとは
きちんとした言葉の定義はさておき、
「各システムの選択肢の全て」
と理解しておくと判りやすいでしょう。
一例として

上記のF列は、お客様のデータを選択肢として選べるようになっていますが、
このデータの引用元(A列)を、「顧客マスタ」と言うことが出来ます。
結局のところ、私たちにとっては「選択肢」という位置づけになります。
マスタデータが便利な理由
マスタデータという考え方を導入した時、そこには当然便利なことが存在します。
便利でないと、そんな回りくどい考え方は発生しないですからね。
メンテナンスが楽である

上記の画像では、A2セルの顧客名を「(株)江戸商店」→「江戸商店」に名称を変更しました。
これによりF2セルの自動で引用する部分が修正されていることが判ると思います。
これは連携しているシステムや引用箇所が多ければ多いほど、修正が1回で済む分、楽になります。
逆にマスタから引用していない場合、システムごとに修正箇所が多くなるので大変です。
属性データの付与を行いやすい

上記では、F2セルで顧客名を引用していますが、マスタ上でそれに紐づくカナ名を項目として持っています(C列)
これがあると例えば請求と入金のデータの紐づけを行いやすく、入金消込が楽になります。
※請求は「(株)江戸商店 統括管理部御中」みたいな形なのに対し、入金データは銀行のカナ名「エドショウテン(カ」みたいな形で振り込みがされてくるので、入金確認を行うためには両者を紐づける必要があるのです。
過去のデータ管理が容易である

上記画像では、飛田海運株式会社は、現在取引が無くなったと仮定しています。
その場合、E列でフラグを0にすることでコントロールを図ります。
不要になった都度、マスタデータを削除してしまうと「過去に取引のあった顧客が知りたい」などの要望があった際に分からなくなってしまいます。
そのため、マスタデータは削除せず、上記のE列のようにフラグにて管理を行います。
集計が綺麗に出来る
下記のような売上データが存在するとします。

ここでは社員名が綺麗に入力されていますので、社員ごとに売上を集計しようとすると

このように綺麗に集計を出すことができます。
しかし、仮に社員名を都度手で入力するとしたらどうでしょう?
入力がまちまちになるので、例えば下記のようなデータになります。

これを同じように集計した結果は、下記のように入力の仕方がバラバラな分、集計が上手くできない結果になります。

②のデータ引用により綺麗になることも重要ですが、もし仮に上記のようにデータがバラバラになってしまった場合は「社員コード」で集計を行い、コードに紐づく社員マスタを再度当て直す必要があります。
これは十分あり得ることです。
例えば結婚をして名字が変わった場合などは、昨年と今年で名前が違うので上記と同じようなことになります。
例えばお客様の商号であれば、商号変更があれば、同様の事象が発生します。
その際に、コードで統制し、マスタを当てることで集計を綺麗にすることは、マスタの利用として便利な点の1つになります。
以上、マスタデータがあると便利な4つの理由でした。
マスタデータの考え方が頭に入っているとAccessは便利なので、覚えておくと良いかもしれませんね。